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世界最大規模にして最高水準の格闘大会。
「キング・オブ・ファイターズ」

 その舞台上でルガールは倒れ、オロチが封じられ、ネスツもまた崩壊していった。

 繰り広げられていた数々のドラマ。
 だが、それらは如何なる時も何らかの厚い幕で覆い隠され、大衆の目に触れることはなかったのである。

 そんな因縁を含みつつ、今年もキング・オブ・ファイターズ開催が決定した。
 大会の主催者はまたしても謎の存在であり、その不透明さを受け、さまざまな場所で、さまざまな憶測が乱れ飛ぶ。

 しかしそれにも関わらず、続々と参加を表明する歴戦の格闘家たち。
 知名度の高い参加者が多数いることを確かめると、それまで慎重だった各メディアも、一斉にKOFを取り上げはじめた。

 今大会から導入される新ルール「マルチシフト」、つまり自由交代制の発表を境に、それは社会現象にまで発展し、世界中の話題を独占してゆく。
 スピーディーな試合展開と、チーム単位の戦術が同時に要求されるこのルールを巡り、新聞・雑誌は毎週のように特集記事を組み、TVでは、にわか評論家たちが机を叩いて熱弁をふるう日々が続いた。

「まだまだ世界には、とてつもなく強い連中がいる」
 牙刀、グリフォンマスク、デュオロン、シェン・ウー。
 ……そして、アッシュ・クリムゾン。
 彼らの名前がネットを通じて次第に知られるようになったのは、まさにこのKOF騒ぎが契機であったのだ。
 彼らはKOFに波乱を巻き起こす新星になれるのか?
 それとも……

 熱狂の日々の中、着々と準備は進む。
 地方大会のステージが決定され、日程が整い、初戦の地に続々と移動する観客たち。
 ストリートファイトの雰囲気を演出すべく、会場は市中に設定されたが、試合の模様は巨大スクリーンで中継放送されることとなり、期間中、数万人収容規模のスタジアムが、あちこちの都市で確保されてゆく。


 2003年12月。
 時は訪れた。

 今年も舞台の幕が上がる。